
この半年間、本当にたくさんの出会いがありました。
このブログを通じて知り合った起業家の方の中には、「一緒に事業をやりたい」と声をかけてくださった方もいます。そこから何度も議論を重ね、事業計画を一つひとつ形にしていきました。
「いよいよ、ここから走り出せる…」
そう思った矢先、運転資金が底をつきかけている現実と向き合うことになりました。
「破産者には融資をしてくれない」という現実
さて、どうしたものか。
冷静に資金繰りを見直してみると、必要な資金はあとわずか。
しかし金融機関に相談しても、こちらの“過去”を見た瞬間に表情が曇る。
「破産者には融資は難しい」
——それが現実でした。
それでも、どうしても諦めたくなかった。
調べて、また調べて、深夜まで資料を読み漁って…
ようやく辿り着いたのが、
日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」
そして
信用保証協会の「再挑戦支援保証」。
たしかに制度としては存在する。
でも、本当に自分のケースで使えるのか…??
正直、半信半疑でした(笑)
日本政策金融公庫の再挑戦支援資金

とりあえず、最寄りの公庫にWeb面談を予約し、まずは事前相談へ。
それでも一度相談してみようと窓口へ行くと、現れたのは “ザ・公庫のおじさん” という表現がしっくり来るタイプの方。
淡々と資料をめくりながら、こう言われました。
「法律的には免責を受けていますがねぇ……
うちとしては 2,480万円を棒引きにさせられた挙句、
また融資、ですか……」
……はい、刺さります。
でも、現実ってだいたいこんな感じです。
申し込みまではしていませんが、
「まぁ…そうですよね……サーセン」
としか言いようがない、あの独特の空気。
「じゃあ、保証協会はどうだ?」
と気持ちを切り替えようとするものの、
――いや待て。以前、5,000万円ほどご迷惑をおかけした相手だ。
そう考えた瞬間、さすがに胸がザワつきました。
信用保証協会の再挑戦支援保証

要件的にはハマる。
……けど、どっちも、「以前ご迷惑をおかけした相手」。
正直なところ、公庫にも保証協会にも、前の会社では本当に色々やらかしました。
だから頭のどこかで
「いや、さすがに無理だろ」
と思っていたのも事実。
でもね。
それでも、どうしても諦めたくなかったんですよ。
制度はある。でも、道はイバラ
制度自体は、たしかにある。
でも実際に相談してみると、金融機関の反応は……うん、まあ冷たいよね、という感じ。
そりゃそうだ。
破産からまだ1年半。
個人情報にもガッツリ傷が残っているわけで。
それでも、そこで引き下がる気にはならなかったんです。とにかく、事業計画もBS/PLも資金繰りも、全部まとめて作り直しました。
何回も見直して、
「これ、ちゃんと事業として回るよ」
って言えるレベルまで持っていった。
あの時はもう、数字とにらめっこしすぎて目が死んでましたけどね(笑)
そして、取り扱ってくれる金融機関を探し出した
制度があっても、実際にやってくれる金融機関がなければ意味がない。
ネットにも情報はほとんどなくて、相談窓口もたらい回し。
でも結局は、自分の足で探して、自分の手で電話して、自分で相談するしかなかった。
一応、昔取引があって融資を完済した地銀にも聞いてみたけど、
「破産してるからNGです」 の一言で終了。
信用金庫も、いつもの
「総合的に判断して……」
という便利ワードであっさり断られる。
それでも回り続けて、事業計画書を本気で読み込んでくれた“とある信用金庫”の担当者がひと言。
「免責決定通知ありますか?
私も破産した方に融資するのは初めてですが……稟議書、書いてみます」
この瞬間だけは、ちょっとだけ希望が見えた。
気づけば、金融機関は5か所回ってました。
融資実行! 満額ではなかったが、十分な資金が手元に
申し込みから約1ヶ月。
とにかく審査はキツかった。
特に保証協会は本当に親身になってくれて、正直「担当者ガチャ当たったな…」と思ったレベル。
ただ、まぁ大変でしたよ。
前の事業と本当に切り離されているかどうか、
総勘定元帳から通帳まで全部チェック。
会計の知識がなかったら、途中で心折れてたと思う。
で、結果は――満額じゃない。
この瞬間だけは、ほんとホッとしました。
正攻法で、経営者に戻る
破産者でも、信用ゼロでも、制度を使って資金調達はできます。
ただ、それには覚悟と準備と、しつこいぐらいの継続が必要です。
再挑戦支援保証や再チャレンジ支援資金は、
あくまで “再起を支えるための制度”。
それをチャンスに変えられるかどうかは、自分次第です。
今回の一件で、
「正攻法で、もう一度経営者に戻る道」
って、本当にあるんだなと実感しました。
ちなみに後日、友人の公認会計士さんに
「公庫の再挑戦融資って、本当に出るの?」
と聞いてみたところ、公庫関係者5名に確認してくれて、
返ってきた答えは、
「99%出ないよ」
……はい、そういう世界です。
制度として存在していても、実際に通るかどうかは別問題。
だからこそ、まずやるべきことはシンプルで、
- 過去をちゃんと反省すること
- 迷惑をかけた人たちに、本気で申し訳ないと思うこと
- 「誰かを社長に据えて逃げる」みたいな抜け道に走らないこと
この3つを徹底するしかない。
遠回りに見えて、実はこれが一番の近道です。
僕はここからもう一度、正攻法で勝負します。
そして最後にひとつだけ。
YouTubeで言ってることを、鵜呑みにするなよ。
綺麗な言葉も、派手なサムネも、現場のリアルとはまったく違う。
制度は“使える風”に見えても、実際に動いてみるとそんな簡単じゃない。
だからこそ、
自分の頭で考えて、自分の足で動く。
結局、それしかないんです。
どこかで誰かが、この記事に勇気を持ってくれたら。
そして再起の一歩を踏み出せたら、それ以上の喜びはありません。
とにかく、元経営者も、銀行員もこの制度を知らない。
今回つくづく感じたのは、
銀行員でさえ、この制度を知らないことが多い という現実。
だからこそ、調べて、また調べて、
納得するまで調べ尽くすことの大切さを思い知らされました。
そして――最後まで諦めない心。
最後にひと言だけ。
やった!!!
ひさはち。


コメント
コメント一覧 (2件)
久しぶりのblogのアップありがとうございます。
私も元破産者です。
大変勇気出るblogありがとうございました。
私も再挑戦…の存在を知ってはいましたが、そのリソースの多くの結論はネガティブ…
何のための制度?何のための情報、リアルではない情報…と思っていましたが、ひさはちさんの記事はポジティブ、リアル、生きた情報そのものでした。
また当たり前の如く、元破産者でも大丈夫ではなく、ご迷惑をおかけした方々にも伝わる相当の努力と熱意があっての制度ということもよくわかりました。
リアル相談しようかな…
本当に生きた情報をありがとうございました。
ご丁寧なコメント、本当にありがとうございます。
「元破産者」としてのご経験を率直に共有してくださり、私の方こそ大変励まされました。制度があっても、その“実効性”や“現実味”に疑問を感じられるお気持ち、痛いほどわかります。だからこそ、私の発信が少しでも「リアルでポジティブな情報」として届いたこと、とても嬉しいです!
おっしゃる通り、「大丈夫」なんて簡単な話ではなく、ご迷惑をかけた方々への誠意や努力があってこそ、制度も信用も活きてくるのだと思います。
ぜひ、リアルな相談も大歓迎です。再挑戦は孤独な戦いではなく、仲間がいることを、これからも伝えていけたらと思っています。
引き続き、共にがんばりましょう!